健康的な関節
おもちゃを追いかけているときも、ソファを飛び降りるときも、犬の関節には常に圧力がかかっています。アクティブな生活を維持するように心がけても、関節を使えば使うほど怪我をする可能性が高くなり、長期的な関節疾患につながってしまうこともあります。食事改善と健康管理の向上によりペットの寿命が延びている現在、獣医師は変形性関節症を含む加齢性疾患をこれまでよりも多く目にするようになりました。
犬の変形性関節症について
変形性関節症とは関節を覆う軟骨の進行性で永続的な退行性疾患で、シニアの犬に多く見られます。事実、変形性関節症は5歳以上の犬の90%が発症するともいわれます。健康体の場合、関節が接合する骨端部は軟骨で覆われ保護されています。軟骨は分解・産生を絶えず繰り返します。健康体では軟骨は分解されるよりも速く産生されますが、加齢、病気または遺伝により、産生のスピードは遅くなります。また、激しい運動や肥満により、分解のスピードが上がることもあります。これが起きると、軟骨の産生が分解よりも遅くなるため、軟骨が退行してしまい、骨端部がこすり合って痛み、刺激、炎症を引き起こします。原因が何であれ、変形性関節症は犬の快適な生活と健康に深刻な影響を与えます。
変形性関節症の症状
急性の痛みが変形性関節症の初期のサインとなることはめったにありません。より一般的なサインは活動性の低下です。これは毎日の活動量が単に少なくなることのほかに、ソファに登ったり、車に乗ったりするなどの日常的な動きが困難になることも含まれます。また、寒い時期には、より活動性が低下することにも気付くかもしれません。
変形性関節症の対処法
痛みと炎症の治療で症状が改善されれば、通常の生活を送ることができます。症状が重い場合は手術をすすめられる場合もあります。関節部の洗浄から人工関節全置換術まで治療法はさまざまですが、関節以外で健康面に問題がない場合は、フードを変えるだけで改善がみられることもあります。魚油が含まれるフードを与えるなど、適切な栄養管理が変形性関節症のサインや症状のコントロールに役立ちます。
栄養管理で変形性関節症を改善
栄養管理が変形性関節症のコントロールに役立つ方法は3つあります。
炎症管理 :
魚油のオメガ3脂肪酸が豊富に含まれるフードは、抗炎症に対する自然治癒力を促進します
軟骨をサポート:
- 魚油由来のオメガ3は、軟骨分解酵素の活性を低下させます。
- グルコサミンとコンドロイチンは軟骨の重要な成分であり、これをフードに含めることにより軟骨の産生に必要な構成要素を補うことができます。
- マンガンは新しい軟骨の産生をサポートします。
- 炎症中に放出されるフリーラジカルは軟骨のさらなる分解を引き起こします。抗酸化物質が多く含まれるフードは、このフリーラジカルを中和するのに役立ちます。
体重管理 :
肥満は変形性関節症の原因でもあり結果でもあります。肥満は変形性関節症の原因となる軟骨分解の割合を増加させると同時に、痛みにより動きづらくなることで体重が増加し、問題を悪化させます。エネルギー量を減らすには、脂肪分が少なく食物繊維が豊富で満腹感を与えるフードが最適です。